ビジュアル・アイデンティティの「アイデンティティ」とは?

 
大袈裟かもしれませんが、人は「解釈の奴隷」であるともいえます。
「コミュニケーションの力」とは、この「解釈を書き変える」ことで、
「人の考え方や行動を、変えてしまう(あるいは開放する)」ことにあります。

「余の辞書に不可能という文字はない」といったのはナポレオンですが、
ほかにも、「不可能と言う文字は愚か者の辞書にのみ存在する」という
辛辣なこともいっています。しかし、彼のいうとおり、
私たちの中には、「心内辞書」があり、私たちは、うかつにも思慮の足りない
「自己解釈」を書き込んでしまっています。

ゆえに人は、自分でも知らぬうちに、自分で自分の限界をつくったり、
あるいは、その解釈にふりまわされてしまいます。

事業の目的を、発展性のない手段である「鉄道」と考えた、
アメリカの鉄道会社の凋落の原因は、ここにあります。
アメリカ鉄道会社、凋落の原因の話はこちらにあります

こうした限界や混乱を産み出す考え方(解釈)に気付き、発見し、
書き変えることで、「創造的な変化」をつくりだすことができます。

こうした「解釈の書き変え」は、特別なことではありません。
あの人のあの一言で、壁を打破できた、成長できた、人生が変わった、
などという経験をされている方は多いと思います。

コミュニケーション・デザインは、この働きを応用しているだけです。

例えば、ドラえもんの声優で有名な大山のぶ代さんは、
中学校時代、声が変わっていることで同級生からの悪ふざけにあい、
ふさぎこんで無口になったとき、母親からの叱咤激励によって、
その後の人生を書き変えられています。

「人間は目でも足でもそこが悪いとかばっていたらますます弱くなるの。」
「少しでも聞きやすい声の出し方、話の仕方を身につけなさい。
 あんたらしくもない。」の言葉に、「本当にそうだ」と思った彼女は、
自分を取り戻し、そこから学校の放送部に所属、その後の放送劇の評判で、
演劇部にスカウトされ、声優・大山のぶ代の誕生に繋がっていきます。

「ウィークポイント」が「ストロングポイント」に
心理的価値を逆転」している、
すばらしいクリエイティブ・ワーク(創造的な変化)が、そこにあります。

事実は、1つ、解釈は十人十色といいます。
このような「コミュニケーション・パワー」は、
「解釈の創造性」から産まれます。

自分で、自分を、どう解釈できるのか、
自分に起きている出来事(現実)をどう解釈するのか、
そこに、その人の可能性と限界が展開されます。
こうした解釈のうちでも、自己解釈(自己認識)にあたるものを
アイデンティティ」といいます。

本来、この言葉「アイデンティティ」は、個人に対して使われる言葉ですが、
会社のような組織においても「アイデンティティの確立」が、
こうした個人的な出来事と同じように、会社の可能性(企業価値の向上)を
展開することから、転用されて使われています。

「ビジュアル・アイデンティティ」における
アイデンティティの確立」とは、自ら打ち出した会社の「自己解釈」の内容、
つまり「アイデンティティ」を、今までの事業成果が担保している場合や、
あるいは、その「アイデンティティ」によって、独自の成果を上げた場合、
その「アイデンティティ」が、人々や社会における「(客観的な)解釈」としても
浸透し、その結果、高い評価や、独自の魅力を確立する状態をいい、
結果として、会社の企業価値の向上を実現することです。

日本は、成長社会から成熟社会への大きな変貌から様々な問題が起きています。

成熟社会の価値判断に適わないことで、
会社に混乱や限界を生じさせている、これまでの「手段中心の考え方(解釈)」に
気付き、その「解釈」を書き変えて、「会社の真の目的」を発見することは、
心理的な内容でしかありませんが、
会社の成長・発展のために「創造的な変化」の起点をつくりだせます。

なぜならば、成熟社会とは、人々が、商品やサービスという「手段」から産まれる
心理的な価値(満足という「目的」)を評価するようになった
「こころの豊かさの時代」だからです。

「ビジュアル・アイデンティティ」とは、
アイデンティティ」の定義と、その「ビジュアル化」、
つまり、会社の「自己解釈」を「視覚情報(カタチ)で発信する」ことです。
それは、企業価値の向上を、優位に、効率よく、合理的に、目指すものです。

アイデンティティ」(の定義)とは、
会社における広義のデザイン、「目的の創造性のデザイン」であり、
創造性を高める、つまり、手段から目的へのレベルアップを
果たす役割をもつものです。

つづく・・・・・・・


by Axle

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