会社における「目的の創造性」と「組織のメカニズム」

 
プロダクトデザイナー、ハリウッド映画のコンセプトデザイナーで
有名なシド・ミード氏は、あらゆるものに先立ってあるのがコンセプトで、
「コンセプトからアイデアが生まれる」といいます。
彼のような優れた「コンセプト」のデザインは、
多くの人々の考え方を書き変えてしまう力があります。

彼が、1982年、SF映画ブレードランナー」で、常に秩序だった美しい未来都市像を、
環境汚染による酸性雨が止まない猥雑な未来都市として描きだすと、
そのコンセプト(解釈)はすぐに浸透し、
その後のSF映画の未来都市の姿を決定づけてしまいました。
それは今だに、未来都市のビジュアルアイデアを触発するコンセプトです。


(2012年公開の「トータルリコール」にもその影響が現れています。)

同じようにビジネスにおいて、鉄道事業で、様々なアイデアを産んだのが
小林一三ですが、コンセプトとして働いたのが、「乗客は電車が創造する」という
鉄道事業の解釈です。この解釈であるコンセプトが、沿線の宅地開発、
終点に動物園や、宝塚歌劇団、そして駅ビルの百貨店という
イデアを産み、いまの阪急グループが誕生しました。
そして、その後の私鉄経営モデルを決定づけています。

このように、「アイデア」は「コンセプト」から産まれます。
それは、いままで「目的(解釈)の創造性」として述べてきたものです。
分かりやすくするために「コンセプト」をいいかえて説明してきました。

このコンセプト(Concept)という言葉は、
Conceive(孕む)、conception(考えること、受胎)と、同根の言葉です。
心に、新しい意識(考え方)を孕(はら)ませ、
(その考え方で新しい可能性が見えれば見えるほど)新しい知恵と意欲を触発し、
新しい行動や成果を出産(現出)させる、という意味だといえます。

このようにコンセプトとは、創造性の母胎のようなものです。

日常の生活、人生のなかで、誰でもが、コンセプトを経験しているものです。
ごくありふれたものですが、コンセプトという捉え方、
解釈をしないために、私たちはまったく無自覚であって気づかないだけです。
声優の大山のぶ代さんの場合(ページ中程にあります)も、
母親によって創造的な変化(行動というアイデア)を
自発するコンセプト(解釈)が与えられています。

このコンセプトは、
会社という組織のマネージメント(発想と行動のプログラミング)としても働きます。
会社経営にとって、重要なメカニズム(仕掛け)になります。

こうした組織のマネージメントの「コンセプト」で
有名なものに東京ディズニーランドがあります。それは「夢と魔法の国」という
コンセプト(自己解釈)で、提供されるもの(心理的な価値)は
「ハピネス(幸福)」です。

そのコンセプトから産まれたアイデアのなかでも
有名なのが「キャスト(役者)」です。

社員も、アルバイトも、「キャスト(役者)」と呼び、
お客さまは「ゲスト(賓客)」と呼びます。そのゲストが楽しむ場を「オンステージ」、
倉庫やオフィスを「バックステージ」、その制服は「コスチューム(舞台衣装)」など、
すべて舞台用語で統一されています。

なぜならば、東京ディズニーランドは、「コンセプト」を、
キャストと、ゲストが、出演する「夢と魔法の国という現実の映画」として、
定義しているからだといいます。

ゲスト(お客さま)に「何をしているの?」と聞かれると、
カストーディアル(というお掃除)キャストは、
「みなさん、楽しい思い出をたくさんつくってらっしゃいますよね。
 実は、パークに落ちている思い出のかけら(ゴミのこと)を拾ってるんですよ」と
答えるといいます。これは、教えられたものではなく、
キャスト個人が創ったもてなし(演出)です。(ディズニーの教え方、
福島 文二郎著より)


(こちらは、パフォーマンスをする特別なカストーディアルキャストです)

キャストは、ゲストに「ハピネス」で、もてなすという
創造的な目的(コンセプト)が与えられいるから素敵なアイデアが産まれてきます。

さらに、具体的な「カストーディアル」という解釈で、
一般的な「清掃係」とは違う振る舞いが産まれます。
その「カストーディアル(Custodial)」という言葉には、掃除という意味は
ありません。管理、保護という意味で、パークを清潔に管理する
ゲストを保護するという解釈なのです。

もちろん言葉(解釈)だけでなく、東京ディズニーランドには
優れたOJT(On the Job Training)があり、キャストの創造性を支えていますが、
清掃係という解釈(姿勢)では、上記のような素敵なもてなし(演出)は
産まれはずもありません。

コンセプトは、人の創造性を自発させる魔法ですが、
現実や常識も、人の力(可能性・創造性)を閉じ込めてしまう魔法です。

東京ディズニーランドは、「あらゆる年齢のこども」のために、
「勇気と冒険」、そして、「ドリームズ・カム・トゥルー(夢は叶う)」が、
核心にあります。人々にとって、何が本当に素敵なのか、
何が本当に大切なのか、という洞察があるからこそ、必然的に、感動(感銘)が
産まれてくる構造が、ゲストにも、キャストにも仕掛けられています。

また、ゲストが「夢と魔法の国」にいるという心理モードをつくるために、
東京ディズニーランドのアトラクションなどの背景のセットでも、
細部にまで気を配っていることは有名です。

映画の中に迷い込んだ気分(楽しい気持ち)を、背景が、ゲストにもたらします。
「ここは魔法の国ですよ。」と、背景に語らせています。
東京ディズニーランドは、背景にもコンセプト(目的意識)の定義が浸透しています。

そこに、すべてが、「コンセプト(夢と魔法の国)」に集約する、
「コンセプト中心思考」があります。ビジュアル・アイデンティティも、
同じメカニズム(仕掛け)をもっています。

ロゴマークのデザインだけでなく、
名刺、封筒、車輛、サイト、広告などのアプリケーション・デザインと呼ばれるもの
までを、会社のアイデンティティを浸透させてデザインするのが、
ビジュアル・アイデンティティのメカニズム(仕掛け)です。

つづく・・・・・・・


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伝えるアイデア =「刺激 → 洞察 → 感銘」

人々に価値を発見(解釈)させたい場合すべてに適応できる仕掛けがあります。
それが、伝えるアイデア=「刺激」→「洞察」→「感銘」です。

私たちの目は、ありきたりなもの、変化の無いものには、
視線を止めないといいます。それは、目に映るもの、
すべてを認識するだけの情報処理能力がなく、
私たちがしっかり見ているのは全体のわずか10%程度でしかないからです。

だからこそ、なにか、感じさせるものがなければ、
人の心のなかには入ってはいけません。

ゆえに、まずは、見落とされないこと。
興味をもたれること、腑に落ちること、そして、想い起こせるほどに
心に残ることです。こうした一連の認知の流れがロゴマークには必要です。
それが、「刺激」→「洞察」→「感銘」です。

例えば、ロゴマーク(デザイン)ではありませんが、
説明しやすく分かりやすい例として
少しまえに話題になった「一杯の水も料理である」や、
今、話題となっている「GNH(国民総幸福量)」を取り上げてみます。

この「一杯の水も料理である」と、「GNH(国民総幸福量)」は、
私たちの心に焼き付くような、優れた「刺激」と「洞察」「感銘」を
もたらす“伝えるアイデア”が効いている好例です。

ご存知の方も多いと思いますが、「一杯の水も料理である」は、
韓国ドラマ「宮廷女官チャングムの誓い」で話題になったものです。
正確には、「たとえ、水でも、器に盛られた瞬間から料理になること。
そして、料理をつくる時は、食べる人への配慮が一番だということ。」という
セリフからきています。

「料理をつくる時は、食べる人への配慮が一番」という「洞察」は、
誰でも知っていることですが、「たとえ、水でも」が、意外性に富み、
そこまで徹底するのかという料理に対する姿勢に
「感銘」を産みだしています。「感銘」とは、心に深く刻みつく感動のことです。

「GNH」は、世界から注目を集めているブータン王国が主張しているものです。
それは、「Gross National Happiness」の略で、
GDP」、つまり、国内総生産「Gross Domestic Product」に対する、
独自の造語として、「国民総幸福量」を掲げ、
経済発展より、国民の幸せにつながる政策(姿勢)を示すものです。

「GNH」の「洞察」は、「物の豊さではなく心の豊さ」です。
それは、誰でも知っていることですが、現実には国の経済を測る単位
「GNP」に振りまわれている先進国に、幸せを測る単位「GNH」を、
政策指標として、突きつけた対比が「刺激」になっています。

97%の国民が幸せだと答える、豊かではないが敬虔な仏教国という事実を
担保とした、この「刺激」、「GNH(国民総幸福量)」は、
「何が本当の幸せなのか」を意識させ、先進国に住む私たちのあり方、
価値観を、見事に揺さぶり、「感銘」を産みだしています。

「GNH」は、1976年、第四代ジグミ シンゲ ワンチョク国王の政策です。
真摯に考えられ、継承されている指標であり、
2011年、国連ミレニアム開発目標サミットにおいて「GNH」は、
国連の新たな目標として68カ国の支持を得て採択され、
国際的な高い評価をあげています。

こうした伝えるアイデアを、巧みに使えば、
アップルのロゴマークの「齧られた林檎」ように、
競業他社とは「違う次元」に、あなたの会社を存在(解釈)させることができます。

すぐれたシンボルとして世界に知られているキリスト教の「十字架」も、
「刺激」→「洞察」→「感銘」という”伝えるアイデア”が存在しており、
独自の「特長」があります。

残忍な処刑・苦痛、そして、恥辱と嫌悪のしるし、磷付の十字架が、
ネガティブな「刺激」として使われ、さらに人類が犯した罪を、
我が身をもって償い救いをもたらしたという
キリストの偉大な功績というポジティブな「解釈」も重ねて表現されており、
「恥辱」と「崇高」というネガティブとポジティブの落差が「刺激」となり、
劇的な「感銘」があります。

江戸時代の「絵踏み」などを想い出すとき、そこにキリスト教がもつ
行動への強い動因が、十字架というシンボルの中にしっかり息づいていることに
気づきます。自らの命をもって我々の罪を我々に代わってあがなわれた主に対して、
自らの命をもって帰依する行為には、純粋な流れ、自ずと連想させる力があり、
人に行動を働きかける力が宿っていると言えます。

核心にある「目的意識」を抽出されることによって、
「行動への動機」、「動因となりえる解釈」がうまれるようになっています。

こうしたものを「コンセプト」といいます。
コンセプトは、「アイデア」や「共感」を産みだし、
組織を動かすメカニズム(仕掛け)になります。

では、その組織を動かすメカニズムを、
どのように仕掛けるのかを、VIデザイン=解釈の創造性このページで、説明します。


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「ソニー」の型通り 「アップル」の型破り。

ロゴマーク(デザイン)の大切な役割は、
人々に会社の「価値」を「発見(評価)」させること、
さらに、社会的に認知(理解と記憶と想起)されること、
つまり評価を確立させることにつきます。

その実現方法は、大まかにいえば
「連想」と「創見」の二つの手法に分けることができます。
「創見」とは「独創的な見解」のことで[見方(解釈)を創る]ことです。
この「連想」と「創見」の二つは、「型通り」と「型破り」の違いがあるといえます。

中小企業でありながらも、世界を相手にビジネスを展開するために、
1958年、ソニーは、「SONY」という「連想による解釈」を創っています。
当時、日本製品が安かろう悪かろうといわれる世界のなかで、
自社製品を売り広めるために、自分たちの会社の魅力に相応しい
クリエイティブ・イメージ(創造的変化の起点)として熟考されたものです。
その成果は、かつてアメリカでは、ソニーアメリカの会社だと
解釈する人が多かったことからも理解できます。

こうした手法は、「プリフレーム」といえるものです。
触れる前に、認知内容を端的に解釈させるための刺激や、伏線を対象者に
与えることです。例えば、机の上の白い布を、ふきんと呼べば「ふきん」に、
雑巾と呼べば「雑巾」として扱われるものです。

しかし、目にうつる白い布が、ふきんではなく雑巾の形をしていたら、
雑巾が、ふきんの形だったら、人は素直に納得したりしません。

ソニーの「SONY」はネーミングの巧みさが際立っていますが、
ロゴマークとしても、その造形(デザイン)は、
当時の欧米の人々に、その設定した「解釈」を浸透させる説得力がありました。

特に成熟社会に生きている今の人たちは、目が冴えています。
ゆえに、こうした視覚の説得力、浸透力(デザインの創造性)は、極めて重要です。

さらに、世界経済の中心ニューヨーク・五番街というシンボリックな場所に
ソニー・ショップを、また、斬新なテレビCMなどを、「SONY」の印象づけ(連想)の
担保として使っています。それらは、人々の解釈を強化・上書きできる
優れたコンタクト・ポイントだからです。

ようするに、優れた場所に提示するから、
提示した「ロゴマーク」が優れたものとして見えてきます。
それが転じて、その「ロゴマーク」が付いている製品だから優れていることに
つながっていきます。このような「連想」を意識的に使って、
目に見えない会社の評価(解釈)を貼付け、イメージ・アップを実現し、
ソニーは、みごとに「SONY」を育て上げました。

もちろん、その評価の基本的な担保は、画期的なソニー製品ですが
SONY」(のロゴマーク)に、評価を貼付ける情報の蓄積(ストック)化が
あることで、評価の確立を早める「触媒の働き」を果たしてくれます。

「触媒」とは、まったく反応しないものや、
ゆっくり反応するものを、加速させるもののことをいいます。

以前、NHKの人気番組であった「プロジェクトX 挑戦者たち」の
テーマソング「地上の星」を聞くだけで、突然、目頭が熱くなって
困るという人たちがいたのをご存知でしょうか。
それは、番組を見れば見る程、涙腺がゆるむ感動の名シーンで、
流れるテーマソング「地上の星」を、何度となく繰り返し聞いてしまうことが
原因です。その結果、具体的な物語やシーンを思い出すわけでもないのに、
その曲を聞くだけで、理由もなくダイレクトに目頭が熱くなる結果が現れます。

これも、情報の蓄積(ストック)化の一例です。
いつの間にか、しかも知らぬうちに、私たちの心に貼り付いているもの(解釈)があり、
私たちはそのことに気づくことがありません。

ゆえに、連想法は、ある意味、恐ろしいものです。

ちなみに、その「SONY」の由来は、音(SOUND)の語源となった
ラテン語のソノス(SONUS)と、SONNY(やんちゃ坊主)を掛け合わせた言葉です。

多くの会社のロゴマーク・デザインも「SONY」のような「連想のデザイン」です。
この「連想のデザイン」は、評価につながる明確な解釈ではなく、
印象的な連想を主軸に考えられています。なぜならば、ロゴマークの印象力と、
ロゴマークに貼付け続ける情報力(蓄積力)によって、
顧客や人々との関係を成立させていくことが基本にあるからです。

これは、ソニーの時代では斬新でも、現代においては、多くの会社で採用されている
スタンダードな手法で、誰でもが考える、あえていえば「型通り」のデザインです。
しかし、その後の肝心な情報の蓄積化(ストック化)、ベーシックな連想法を、
多くの会社はなおざりにされています。

せっかくデザインしたロゴマークが効かない一因が、そこにあります。

その対極に、アップルの「齧られた林檎」が存在しています。
それは「型破り」なデザインです。
(事業に対する)独創的な見解、「創見(Vision)のデザイン」のロゴマークです。

アップルの公式見解がありませんが、その由来は旧約聖書「創世紀」の物語です。
その物語は、禁断の知恵の実である林檎を食べたアダムとイブが、
エデンの園から、「神によって追放される」ネガティブな内容ですが、
むしろ、「支配からの開放」だというポジティブで独創的な見解(創見)が、
そこにはあります。

それは、テレビCM「1984」が分かりやすく、
その内容(解釈)を発見させてくれます。

テレビCM「1984」は、1984年、世界初の画期的なGUI(グラフィカル・ユーザ・
インターフェイス)、つまりアイコン&マウスのMachintosh(略称Mac)、
発売告知のテレビCMです。ユーチューブの動画をご覧ください。

このCMは、ジョージ・オーウェルの警鐘小説の「1984」をベースにしています。

IBMを想定した管理社会の恐怖と、それを打破する内容です。
当時、世界は巨大なメインフレームと呼ばれる汎用コンピューターの時代で、
それによって、既存体制は、人々を一元管理(支配)するのではないかという
イメージが、SF映画やコミックなどの影響で定着していました。

パーソナルコンピューターは、反権力・反管理として位置づけられており、
その既存の解釈の流れを利用して、アップルは自身を「覚醒(開放)」をうながす
反権力・反管理の旗手(救世主)として描いています。

3大TVネットワークや、新聞・雑誌の多くのメディアが、
この斬新なテレビCMに注目し、社会的な話題として、
人々から一気に注目されることにも成功しています。

このことで、アップルのロゴマーク「齧られた林檎」は、
単なる「優れたコンピュータ会社」を超えた意味、価値を産みだし、
競業他社とは違う次元にアップルを存在(解釈)させました。

こうした働きをもつのが、「創見(Vision)のロゴマーク」です。

アップルは、パーソナル・コンピューターという便利な道具という
単なる「手段」を開発したのではなく、
既存体制に支配された世界を、デジタルで個人に開放し、
私たちの豊かな生活や、私たちの可能性を開くという
創造的な「目的」を発見しています。

あらゆる世界において、プロフェッショナルとアマチュアの垣根を低くし、
情報の支配的な送り手であった新聞の凋落、テレビでは地上波離れが進んでおり、
逆に、一個人でもネットで生放送ができたりします。
「支配からの開放」、この「解釈」は、デジタルやネットで起きる私たちの変化、
情報革命を、的確に要約しています。そして、今、起きている
「中東のネット革命」は、まさに支配からの開放です。

つづく・・・・・・・



<特集記事>
なぜブランディング・デザインで失敗する会社が多いのか
http://www.axle.biz/vi_brand_design.html


<制作事例>
ロゴマーク事例が下記のアドレスにあります。
●EAPサービスの事例
●フレームワーク社の事例


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http://www.axle.biz



 
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会社の最大の商品は、ロゴマークだ。

ロゴマーク(デザイン)の大切な役割は、人々に会社の「価値」を
「発見(評価)」させること、さらに、社会的に認知(理解と記憶と想起)
されること、つまり評価を確立させることにつきます。

ソニーが最も輝いている時代に
ソニー、最大の商品は『SONY』というロゴだ」といわれたといいます。
たとえ低価格の普及品であっても、その製品に付いている
SONY」のロゴマークによって、品質の良さが解釈されてしまう、
保証されてしまう、素敵だと思ってしまうことは、販売力そのものです。

そして、その力は会社の全ての物事に対しても波及します。

つまり、ロゴマークが素晴しいのは、
一旦、評価が確立すれば、一瞬で、価値を伝える力(販売力)を持っているからです。

事実、消費者の頭の中から競合他社を排除するほどの力のあるブランドは、
現在では、企業買収額の75%が商標権の買収金額になる場合もあり、
それは無形資産になっています。

これが、ロゴマークが生み出す最大の成果です。

そのようなロゴマークが生み出す会社の評価は、人々や社会に委ねずに、
自社で独断で決めなければ産まれるものではありません。

本来、評価とは、他者が決めるものだ、という思い込みがありますが、
人々は、見たモノに貼付けられている「解釈」によって、モノの価値を「発見(評価)」させられている存在です。
ゆえに、彼らが、「発見」出来るような「評価」に結びつく「解釈」を
創らなければ、それは実現しません。

評価は、自然には産まれにくいのです。

ゆえに、成熟社会における「QOL」(Quality of Life)に適う
あなたの会社の「心理的価値(真の目的)」を考える必要があります。
QOL」に適うとは、人々や、社会から、
評価(要するに販売力)を産み出す起点になるからです。

つづく・・・・・・・


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デザインとは、価値の発見を担うものです。_iMacのデザイン革命

 
私たちは、「あるがままのモノ」を、客観的に見ているわけではありません。
見たモノに貼付けられている「解釈」によって、
モノの価値を「発見(評価)」させられています。

その大切な役割、「発見」を担うのが、デザイン(ビジュアル化)です。

ゆえに、モノに貼り付いているカタチの「解釈の問題」に気付き、
その「解釈を書き変える」ことで、「創造的な変化」を
つくりだすことができます。

デザインも「解釈の創造性」が力を発揮します。

1998年に発売されたアップルの初代「iMac」は、
世界が驚いた「パーソナル・コンピュータのデザイン革命」といわれています。

当時、パーソナル・コンピュータのスタイリング・デザインは、
「スクエア(四角)」タイプの系統が永く続き、
色も、ホワイト系かブラックです。コンピュータの正体は計算機であり、
数理的・合理的な意識を感じさせるスクエアは、従来からのコンピュータの
支配的な解釈「ビジネスマシーン」にふさわしいものでした。
さらにこの解釈は、パーソナル・コンピュータの黎明期よりずっと続いただけに、
誰もが、このスタイリングに疑問を抱けなくなるほどの支配的な解釈として、
私たちの心に、べったりと貼り付いていました。

しかし、アップルは、パーソナル・コンピュータに貼り付いている
このスクエア・デザインという「解釈」が、「死んでいる」ことを読んでいたのです。

ゆえに、すべてが意外性(刺激)にあふれていた「iMac」の登場は、
パーソナルコンピュータのスクエア・デザインに退屈(麻痺)していた
私たちの目と心を、鮮やかに醒まさせました。

それは、美しい曲線によるスタイリング、
ビビットな多色展開されたカラーリング、スケルトン・ボディ(半透明ケース)、
ポップでカジュアル、オシャレなデザインです。


美の役割の大きさを暗示するのは
エステティック(美)」の反対語である「アニステティック(麻痺)」が
「無感覚」(生きながら死んでいる状態)を意味するということである、
といいます。(感覚の世界:イー・フー・トゥアン著より)

「美」は、生気を失っているものを、蘇生させ、輝かせるものです。

それは、モノゴトの「解釈」を、書き変える力(刺激)でもあり、
その起点になってくれます。ここに、デザインの創造性が存在しています。

この「デザイン革命」を実現させた原因は、
当時のパーソナル・コンピュータ業界に新しい時代が訪れていたからです。
それが分かるのは、「iMac」の購買者の32%は、これまでにコンピューターを、
買ったことのない人たちだ、ということです。

iMac」は、インターネットを楽しむ
普通の人のためのコンピューターという解釈でデザインされており、
そのデザインは、「オフィスにある事務機のようなビジネスマシーン」ではなく、
プライベートルームのための「素敵なインテリア・ファニチャー(調度品)」
としても解釈(発見)されたはずだからです。

デザイン(カタチ)は、単なる美醜の問題ではありません。
やみくもに、ただ美しくしても、人の目や心にヒット(アクセス)しません。

私たちは、「あるがままのモノ」を、客観的に見ているわけではありません。
見たモノに貼付けられている「解釈」によって、
モノの価値を「発見(評価)」させられています。

その大切な役割、「発見」を担うのが、
デザイン(ビジュアル化という創造性)です。

つづく・・・・・・・


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形の美しさの前にある切実な飢えが人を動かします。
美とは、何か?、それは人の急所です。


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ビジュアル・アイデンティティの「アイデンティティ」とは?

 
大袈裟かもしれませんが、人は「解釈の奴隷」であるともいえます。
「コミュニケーションの力」とは、この「解釈を書き変える」ことで、
「人の考え方や行動を、変えてしまう(あるいは開放する)」ことにあります。

「余の辞書に不可能という文字はない」といったのはナポレオンですが、
ほかにも、「不可能と言う文字は愚か者の辞書にのみ存在する」という
辛辣なこともいっています。しかし、彼のいうとおり、
私たちの中には、「心内辞書」があり、私たちは、うかつにも思慮の足りない
「自己解釈」を書き込んでしまっています。

ゆえに人は、自分でも知らぬうちに、自分で自分の限界をつくったり、
あるいは、その解釈にふりまわされてしまいます。

事業の目的を、発展性のない手段である「鉄道」と考えた、
アメリカの鉄道会社の凋落の原因は、ここにあります。
アメリカ鉄道会社、凋落の原因の話はこちらにあります

こうした限界や混乱を産み出す考え方(解釈)に気付き、発見し、
書き変えることで、「創造的な変化」をつくりだすことができます。

こうした「解釈の書き変え」は、特別なことではありません。
あの人のあの一言で、壁を打破できた、成長できた、人生が変わった、
などという経験をされている方は多いと思います。

コミュニケーション・デザインは、この働きを応用しているだけです。

例えば、ドラえもんの声優で有名な大山のぶ代さんは、
中学校時代、声が変わっていることで同級生からの悪ふざけにあい、
ふさぎこんで無口になったとき、母親からの叱咤激励によって、
その後の人生を書き変えられています。

「人間は目でも足でもそこが悪いとかばっていたらますます弱くなるの。」
「少しでも聞きやすい声の出し方、話の仕方を身につけなさい。
 あんたらしくもない。」の言葉に、「本当にそうだ」と思った彼女は、
自分を取り戻し、そこから学校の放送部に所属、その後の放送劇の評判で、
演劇部にスカウトされ、声優・大山のぶ代の誕生に繋がっていきます。

「ウィークポイント」が「ストロングポイント」に
心理的価値を逆転」している、
すばらしいクリエイティブ・ワーク(創造的な変化)が、そこにあります。

事実は、1つ、解釈は十人十色といいます。
このような「コミュニケーション・パワー」は、
「解釈の創造性」から産まれます。

自分で、自分を、どう解釈できるのか、
自分に起きている出来事(現実)をどう解釈するのか、
そこに、その人の可能性と限界が展開されます。
こうした解釈のうちでも、自己解釈(自己認識)にあたるものを
アイデンティティ」といいます。

本来、この言葉「アイデンティティ」は、個人に対して使われる言葉ですが、
会社のような組織においても「アイデンティティの確立」が、
こうした個人的な出来事と同じように、会社の可能性(企業価値の向上)を
展開することから、転用されて使われています。

「ビジュアル・アイデンティティ」における
アイデンティティの確立」とは、自ら打ち出した会社の「自己解釈」の内容、
つまり「アイデンティティ」を、今までの事業成果が担保している場合や、
あるいは、その「アイデンティティ」によって、独自の成果を上げた場合、
その「アイデンティティ」が、人々や社会における「(客観的な)解釈」としても
浸透し、その結果、高い評価や、独自の魅力を確立する状態をいい、
結果として、会社の企業価値の向上を実現することです。

日本は、成長社会から成熟社会への大きな変貌から様々な問題が起きています。

成熟社会の価値判断に適わないことで、
会社に混乱や限界を生じさせている、これまでの「手段中心の考え方(解釈)」に
気付き、その「解釈」を書き変えて、「会社の真の目的」を発見することは、
心理的な内容でしかありませんが、
会社の成長・発展のために「創造的な変化」の起点をつくりだせます。

なぜならば、成熟社会とは、人々が、商品やサービスという「手段」から産まれる
心理的な価値(満足という「目的」)を評価するようになった
「こころの豊かさの時代」だからです。

「ビジュアル・アイデンティティ」とは、
アイデンティティ」の定義と、その「ビジュアル化」、
つまり、会社の「自己解釈」を「視覚情報(カタチ)で発信する」ことです。
それは、企業価値の向上を、優位に、効率よく、合理的に、目指すものです。

アイデンティティ」(の定義)とは、
会社における広義のデザイン、「目的の創造性のデザイン」であり、
創造性を高める、つまり、手段から目的へのレベルアップを
果たす役割をもつものです。

つづく・・・・・・・


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会社の発達障害?、会社がもつ目的の創造性(コンセプトの働き)

 
近年、多くの人々から話題になったものに、
子どもからの「なぜ、勉強しないといけないの?」に、
どう答えるのかが注目されました。
「勉強という『手段の目的』は何か?」に、
私たちは問い詰められてしまいます。この子どもの問いに、
多くの大人が、まともに答えることができません。

真剣に考えれば考えるほど思案に暮れますが、
この「勉強」を「仕事」におきかえて、自らの仕事、
ビジネスの目的を考える時、この子どもたちと同じような状態に、
私たちが陥っていることに気付きます。

あなたの仕事、ビジネスの「目的」は何ですか?
あなたの経営する会社の「目的」は何ですか?

それは「儲ける」ことだ、と答えることもできます。
しかし、その「儲ける」ことさえも、「目的の定義」は、力を発揮します。

例えば、現在、旅客鉄道が衰退したアメリカで、
高速鉄道計画が話題になっていますが、面白いのは、
アメリカの鉄道事業が衰退したのは、
旅客と貨物輸送の需要が増え続けている中で起こったことです。

アメリカの鉄道会社の凋落の原因は、自社の事業の目的を「輸送」ではなく、
「鉄道」を目的と考えために、顧客を、自動車、トラック、航空機などへ、
奪われたのではなく、追いやってしまった結果だったといいます。

何を事業の「目的」とするのかは、
その会社の「可能性」と「限界」を展開させます。

鉄道王小林一三(1873-1957)は、
鉄道をまったく違う「解釈」の発見をして、あの阪急グループを創設しています。

彼の鉄道事業の解釈は、「乗客は電車が創造する」というものです。
鉄道を起点として様々な事業を創造し、
現在の私鉄経営モデルの原型を独創しています。

明治43(1909)年、すでに国鉄(JRの前身・日本国有鉄道)が走っている区間
重なってしまう現在の宝塚線での鉄道事業は、無謀な計画といわれました。
さらに、沿線には農地ばかりでしたが、
小林は「乗客がいなければ乗客を作り出せばよい」と、
宅地を開発し、乗客づくりをして日本初の電車通勤がうまれています。

そして、終点・箕面(みのお)駅に動物園を、もう1つの終点・宝塚駅
宝塚歌劇団の前身・宝塚唱歌隊、次に世界初の駅ビル百貨店
ターミナルデパート)をつくり、新たな文化、ライフスタイルの提案とも
いわれ、国鉄に対抗した乗客づくりは大成功を収めます。

同じ鉄道事業でありながら、考え方(目的意識)の違いによって
その会社の「可能性」と「限界」が、展開され、形となって現実化してきます。

前者は、「手段」に、殺され、その事業を失っています。
後者は、「手段」を、生かし、その事業の可能性を大きく展開しました。

会社は、経営者が与える「解釈(目的=事業の要約)」に従います。

私たちは、今、IT、グローバリズム、エコ社会、デフレーションにゆれる、
激変の時代に生きています。ゆえに、近い将来、あなたの商品が、あなたの仕事が、
あなたの会社の市場そのものが、無くなってしまうことも
ありえないことではありません。過酷な競争社会で成長・発展するために、
新しいステージに、私たちは、レベルアップせざるをえません。

経営者としてあなたは、激変の時代に、しっかり呼応していますか?

つづく・・・・・・・


by Axle
  

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